~暮らし・健康・癒しのblog~
#054 静かな時間 読書 vol.4
『ひとりの午後に』著:上野千鶴子

社会学者・フェミニストと知られる上野千鶴子さん。凛とした佇まいに迫力が溢れ、とにかく強く賢い女性で、雲の上の人という印象が強く、こんな方が描くエッセイはどんな感じなのだろう。何を感じ、どう生きてきたのだろう。強い人の心の内を知りたい気持ちと、人生の教科書になればと、頼るような気持ちで読み始めました。私が一番印象深かったのは「青春」の章です。ズンズンと大股で自分が思う道を迷うことなく進み、さぞ輝いていた青春だったのだろうと羨ましく想像していたけれど、そこに書かれていた内容は違うもので、上野さんでもこんなことを思うのか!と驚き、安心もし、読み返し、納得し、過去の自分の思い出したくない恥ずかしいおもいや悔しいおもい、矛盾だらけの行動などが無くなりはしないけれど、そんなもんだよ。と言われ慰められたようでした。
また自分の考えが浮き彫りになったのは「ボケ」の章です。私の周りにはとても素敵に元気に働いている70歳代・80歳代の女性が多数いらっしゃいます。その方々とお話することがとても好きで、楽しく、そして自分もこうなりたいと。という強い思いがその方々を尊敬する思いに乗っかっているようです。一方、家に閉じこもり、なにもしない。または人の介助がなければ生活できない。このような高齢の方をみる私はこうなりたくない。という自分の思いが乗っかります。選ぶことのできない将来なのに、その人の生きる術を、今の自分の浅はかな思いはジャッジしてしまう。それは将来の自分を苦しめることにもなるというのに。本の中にある「こんなになっても、生きていなければならないものですか」という問いに答えたケアの専門家の方のせりふに、生命をまっとうする。それだけでいいのだ。と気が付かされました。この本はまさに私の教科書になり、今読むべき本であったのだとおもいました。